シリーズ第20弾となる読者会は、「資金管理 編」です。ご登壇頂いたのは、財務分野の読者会でおなじみ、長岡先生です。
「資金管理」というと、広い意味で捉えられるかと思いますが、具体的に実務で利用するものとしては「資金繰り表」や「キャッシュフロー計算書」といったものが挙げられます。
財務実務に必要とされる、基本的なツールの使い方から、実際の企業のキャッシュフロー計算書をもとにした分析など、盛りだくさんで充実した2時間となりました。
まずは長岡先生より、資金管理に必要な4つのツール「資金繰り表」「資金運用表」「資金移動表」「キャッシュフロー計算表」をご紹介頂きました。B/S、P/Lが発生主義なのに対して、資金管理の実務で使用するこれらのツールは「現金主義」、つまり現金の収入・支出をベースに作成されるというのが大きな違いです。そしてこれらの4つのツールも、作成する目的によってそれぞれ違いがあります。
それぞれのツールの目的と特徴、そして表の見方をおさえたあとは、最初のディスカッション課題です。
4種類の資金管理ツールの中で、長岡先生がディスカッションの材料テーマとして取り上げられたのが「資金運用表」。
資金余剰や資金不足の原因を分析するために作成するものです。
実務で使われている間接法によるキャッシュフロー計算表を理解するためには、資金運用表が理解できれば大変助けになります。
さて、ディスカッションでは、ある架空の会社の資金運用表を見ながら、「このときはどのように資金調達したのだろうか」「この場合の運転資金の増減額はいくらになるだろうか」というような設問をグループで話し合っていただきました。
計算問題以外は、明確な正解があるという設問ではないため、皆さま自由な発想でお考え頂き、いろいろなご意見を発表していただきました。
そして長岡先生からは、少し違った角度から、このような考え方もできるという点をご解説いただきました。
数字から読み取れる背景を考えるのは、独自の想像力が必要でしたが、頭を柔らかくすることが大切ですね。
実務上では、設備投資の際の減価償却費や、銀行からの借入金額の増減など、具体的な背景がもとになってくるので、数字の変化から、「○○の背景があるのではないか?」と考えるための訓練になったと思います。
また、必要な運転資金の要因分析や計算方法も学ぶことができ、参考になったという方のお声も多くありました。
2つめの課題は、キャッシュフローの分析です。
3社のキャッシュフロー計算書を実際に見て、ディスカッションをしながら、キャッシュフロー計算書はどのように読むのか、という考え方を学んでいきました。
ディスカッションの前には、長岡先生から自己資本比率や負債資本倍率について、また「営業活動によるキャッシュフロー」「投資活動によるキャッシュフロー」「財務活動によるキャッシュフロー」という3つのキャッシュフロー構成要素についてご解説いただきました。
その上で、ある3つの会社の「営業活動によるキャッシュフロー」がマイナスになっている要因や、3社の業種を考慮しながら、それぞれのキャッシュフローの特徴や問題点などをディスカッションして頂きました。
皆様の話し合いの結果、各チームからさまざまな分析内容を発表していただきました。
皆さまの発表を受けて、長岡先生からは1つめの課題で出てきた内容を踏まえながら、営業活動によるキャッシュフローに関連して、売上債権の増減額を見るときは、絶対額の増減も大切ですが、「売上の何ヶ月分が増えたのか」という回転期間も計算してみると良い、というアドバイスなどがありました。
売上が減っているにもかかわらず、売上債権や在庫の残高が前期末に比べて増えているという場合、それぞれの回転期間が前期と比べてどのように変化しているのかという点にも要注目です。
業界全体の動きや、私たち消費者の消費活動の変化が、それぞれの企業のキャッシュフローに影響を与えているということを数字から知ることができました。
キャッシュフローを見ると、その資金がどこから調達されて、どのように使われているのかというお金の流れが良く分かります。そこから企業の経営状況を知り、分析するためにも非常に重要なものだということがわかりました。
今回の読者会で得られた「キャッシュフローの読み方・考え方」をもとに、他の会社のキャッシュフローも分析してみると練習にもなりそうですね。是非復習してみてください。
セミナー終了後のアンケートでは、このようなお声を頂きました。
たくさんのご意見を本当にありがとうございました。
また次の機会にお目にかかれることを楽しみにしております。
【開催日】2015/10/21
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