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日商簿記2級に最短で合格する勉強方法|合格率30%の壁を突破する実践的攻略法

ジャスネットキャリア編集部

日商簿記2級は企業の経理・財務担当者にとって必須の資格として高く評価される一方で、合格率30%前後という難関資格でもあります。3級から大幅にレベルアップする2級では、工業簿記の導入や連結会計、税効果会計など、より実践的で複雑な内容が問われるため、効率的な学習戦略が合格の鍵を握ります。

本記事では、限られた時間で確実に合格ラインに到達するための具体的な勉強方法と、多くの受験生が躓きがちなポイントを克服する実践的なアプローチをご紹介します。

目次

    日商簿記2級の試験概要と合格への心構え

    日商簿記2級の合格を目指すにあたって、まずは試験の全体像を正確に把握することが重要です。漫然と勉強を始めるのではなく、試験の攻略は「知ること」から始まります。

    (1)試験形式と出題範囲の理解

    日商簿記2級は商業簿記と工業簿記の2つの分野から構成され、それぞれ60点と40点の配点となっています。商業簿記では企業の日常的な取引から決算処理、さらには連結会計や税効果会計といった高度な内容まで幅広く出題されます。一方、工業簿記では製造業特有の原価計算が中心となり、材料費、労務費、経費の配賦から標準原価計算、直接原価計算まで、計算力と理解力の両方が問われます。

    試験時間は90分で、この短い時間内に第1問から第5問までを解き切る必要があります。特に工業簿記は計算量が多いため、時間配分が合格の重要な要素となります。合格基準は70点以上です。

    (2)合格率から見る試験の難易度

    近年の 日商簿記2級の合格率は20%から40%の間で推移 しており、回によって大きく変動します。この変動の背景には、試験制度の改革により実務に即した問題が増加していることがあります。特に2016年以降の制度改変により、連結会計や税効果会計が出題範囲に加わり、難易度が大幅に上昇しました。

    しかし、合格率の低さに臆することはありません。適切な準備と戦略的なアプローチにより、合格ラインに到達することは十分可能です。重要なのは、試験の特性を理解し、効率的な学習計画を立てることです。

    効果的な学習計画の立て方

    成功する受験生に共通するのは、明確な学習計画を持っていることです。闇雲に勉強するのではなく、戦略的にスケジュールを組むことで、限られた時間を最大限活用できます。

    (1)学習期間の設定と全体スケジュール

    日商簿記2級の標準的な学習期間は 3か月から6か月程度が目安 となります。ただし、これは1日2時間程度の学習を継続した場合の目安であり、個人の学習時間や前提知識によって大きく変わります。 3級を取得済みの場合は3か月程度、簿記初学者の場合は6か月程度 を見込んでおくとよいでしょう。

    学習の進行は、理解→定着→応用の3段階に分けて考えることが効果的です。最初の1か月は基本的な仕訳や計算方法の理解に集中し、次の1か月で問題演習を通じて知識の定着を図り、最後の1か月で過去問演習や予想問題を通じて実戦力を養います。

    (2)商業簿記と工業簿記のバランス配分

    多くの受験生が悩むのが、商業簿記と工業簿記の学習時間配分です。一般的には、商業簿記6割、工業簿記4割程度の時間配分が推奨されますが、個人の理解度に応じて調整することが重要です。

    工業簿記は計算中心で理解しやすい反面、計算ミスが起こりやすい という特徴があります。一方、商業簿記は範囲が広く理解に時間がかかりますが、一度理解すれば安定して点数を取ることができます。自分の得意不得意を早期に見極め、苦手分野により多くの時間を割り当てる柔軟性が必要です。

    テキスト選びと教材活用法

    適切な教材選択は合格への第一歩です。数多くの簿記2級テキストが市販されていますが、自分の学習スタイルや理解度に合った教材を選ぶことが重要です。

    (1)基本テキストの選定基準

    優良なテキストの条件として、まず内容の正確性と最新性が挙げられます。簿記の出題範囲は頻繁に改定されるため、最新の出題範囲に対応したテキストを選ぶ必要があります。また、解説の詳しさと図表の豊富さも重要な要素です。複雑な取引や計算プロセスを視覚的に理解できるよう工夫されたテキストは、学習効率を大幅に向上させます。

    人気の高いテキストシリーズとしては、 TAC 大原 ネットスクール などの資格予備校が出版するものが挙げられます。長年の指導経験に基づいて構成されており、受験生がつまずきやすいポイントを丁寧に解説しています。このほかにも様々なテキストがあるので、店で実際に手に取り、自分にとって読みやすい文体や構成のものを選ぶことをお勧めします。

    (2)問題集と過去問の効果的活用

    テキストでの理解が進んだら、問題演習に移行します。問題集は基本的な仕訳問題から応用的な総合問題まで、段階的に難易度が上がるよう構成されたものが理想的です。各章の学習後すぐに対応する問題を解くことで、理解度を確認しながら進めることができます。

    過去問演習は試験直前の実戦力養成に欠かせません。 最低でも過去5回分は繰り返し解き、出題パターンと時間配分に慣れる ことが重要です。間違えた問題は必ずテキストに戻って理解を深め、同じミスを繰り返さないよう注意深く復習します。

    分野別攻略法と重要ポイント

    日商簿記2級の各分野には、それぞれ特有の攻略法と重要ポイントがあります。効率的な学習のためには、分野ごとの特性を理解し、適切なアプローチを取ることが必要です。

    (1)商業簿記の重点学習項目

    商業簿記では、まず基本的な仕訳処理を完璧にマスターすることから始めます。売買取引、手形取引、有価証券取引など、頻出する取引パターンを反復練習により定着させます。特に重要なのは決算整理仕訳で、減価償却、貸倒引当金、棚卸資産の評価など、決算時に必要な調整仕訳を確実に理解する必要があります。

    連結会計は2級で新たに加わった分野で、多くの受験生が苦手とする領域です。しかし、基本的な考え方を理解すれば、それほど複雑ではありません。親会社と子会社の関係、連結仕訳の基本パターンを段階的に学習し、問題演習を通じて慣れることが重要です。

    (2)工業簿記の計算テクニック

    工業簿記は計算が中心となるため、正確性とスピードの両方が求められます。材料費、労務費、経費の分類と配賦方法を正確に理解し、原価計算の基本的な流れを身につけることから始めます。特に間接費の配賦は複雑になりがちですが、配賦基準の考え方を理解すれば規則的に処理できます。

    標準原価計算では、実際原価と標準原価の差異分析が重要なポイントとなります。材料費差異、労務費差異、経費差異のそれぞれについて、価格差異と数量差異の計算方法を確実に覚える必要があります。計算プロセスを図解しながら理解することで、複雑な計算も整理して取り組むことができます。

    (3)苦手分野の克服戦略

    多くの受験生が共通して苦手とするのが、連結会計、税効果会計、標準原価計算 です。これらの分野では、まず基本概念をしっかりと理解することが重要です。暗記に頼るのではなく、なぜそのような処理が必要なのか、実務上どのような意味があるのかを理解することで、応用問題にも対応できるようになります。

    苦手意識を持つ分野ほど、小さなステップに分けて段階的に学習することが効果的です。一度に全体を理解しようとせず、部分的な理解を積み重ねることで、最終的に全体像を把握できるようになります。

    実戦的な問題演習のコツ

    知識の習得だけでは試験に合格することはできません。限られた時間内で正確に問題を解くためには、実戦的な問題演習が不可欠です。

    (1)時間配分の戦略

    90分の試験時間を効果的に使うためには、問題ごとの時間配分を事前に決めておく必要があります。一般的には、第1問(仕訳問題)に15分、第2問(個別論点)に20分、第3問(精算表や財務諸表)に30分、第4問(工業簿記の個別論点)に10分、第5問(工業簿記の総合問題)に15分程度の配分が推奨されます。

    ただし、これは目安であり、実際の試験では問題の難易度に応じて柔軟に調整することが重要です。解けない問題に時間をかけすぎず、確実に取れる問題から解いていく戦略的なアプローチが求められます。

    (2)計算ミスの防止法

    簿記の試験では、理解は正しくても計算ミスで失点することが少なくありません。計算ミスを防ぐためには、問題を解く際の手順を標準化し、確認作業を習慣化することが重要です。特に工業簿記では計算過程が複雑になるため、途中経過を整理して記録し、最後に見直しができるよう工夫します。

    電卓の使い方も重要なポイントです。桁数の多い計算では、メモリー機能を活用して効率的に計算を進めます。また、計算結果に違和感がある場合は、必ず再計算を行い、ケアレスミスを防ぎます。

    (3)見直しの効率化

    試験時間が限られているため、見直しも効率的に行う必要があります。全ての問題を一から解き直すのではなく、計算結果の妥当性を素早くチェックする方法を身につけます。例えば、貸借対照表では借方と貸方の合計が一致するか、損益計算書では各段階利益が妥当な水準かを確認します。

    見直しの優先順位も重要です。配点の高い第1問と第5問を優先的に確認し、時間に余裕がある場合に他の問題も見直します。

    直前期の総仕上げと当日の心構え

    試験直前期の過ごし方と当日の対応が、これまでの努力を結果に結びつける重要な要素となります。

    (1)直前期の学習法

    試験の1か月前からは、新しい論点の学習よりも、これまで学習した内容の定着と実戦力の向上に集中します。過去問と予想問題を繰り返し解き、出題パターンに慣れることが重要です。間違えた問題は必ずテキストに戻って確認し、同じミスを繰り返さないよう注意深く復習します。

    最後の1週間は、基本的な仕訳や計算方法の確認に重点を置きます。複雑な応用問題よりも、確実に得点できる基本問題での失点を防ぐことが合格への近道です。

    (2)試験当日の対策

    試験当日は、いつも通りの生活リズムを保つことが重要です。試験会場には余裕を持って到着し、持参すべき受験票、電卓、筆記用具の確認を行います。電卓は普段使い慣れたものを持参し、予備も準備しておくと安心です。

    問題冊子を受け取ったら、まず全体に目を通し、各問題の難易度と時間配分を大まかに把握します。解きやすい問題から取り組み、最初に得点を積み重ねることで精神的な余裕を生み出すことができます。

    継続的な学習のモチベーション維持

    長期間の学習を継続するためには、モチベーションの維持が欠かせません。目標を明確にし、学習の進捗を可視化することで、継続的な努力を支える仕組みを作ることが重要です。

    (1)目標設定と進捗管理

    合格という最終目標に加えて、短期的な目標を設定することで学習のリズムを作ります。例えば、「今週中に連結会計の基本を理解する」「月末までに過去問3回分を解く」といった具体的で達成可能な目標を設定します。これらの目標達成により、学習への自信と継続のモチベーションを維持できます。

    学習記録をつけることも効果的 です。毎日の学習時間と内容を記録し、週単位、月単位での振り返りを行います。自分の成長を可視化することで、学習への意欲を持続させることができます。

    (2)挫折しないための工夫

    日商簿記2級の学習では、理解が進まずに挫折しそうになる時期が必ずあります。そのような時は、完璧を求めすぎず、現在の理解度を受け入れることが重要です。 70点で合格できる試験であることを思い出し、全ての論点を完璧に理解する必要はないという気持ち で臨みます。

    同じ目標を持つ仲間との情報交換や励まし合いも、モチベーション維持に有効です。SNSや学習コミュニティを活用し、孤独感を解消しながら学習を継続することができます。

    まとめ

    日商簿記2級は確かに難易度の高い資格ですが、適切な学習方法と継続的な努力により、合格できる試験です。

    自分に合った学習スタイルを見つけ、戦略的にアプローチすることで、効率的に合格ラインに到達することができます。簿記2級の取得により、経理・財務分野でのキャリアアップや転職活動において大きなアドバンテージを得ることができるでしょう。合格に向けて、計画的かつ継続的な学習を心がけてください。

    (執筆協力:簿記講師 鯖江 悠平)

    【リンク】
    次こそ合格したい人へ日商簿記2級講座(無料)
    https://career.jusnet.co.jp/entry/video-bookkeeping2/

    講師プロフィール

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