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日商簿記2級の配点を知れば合格が見える!戦略的攻略法と効率的な試験対策

ジャスネットキャリア編集部

日商簿記2級の合格には配点を知ることが不可欠です。試験は第1問から第5問まで各20点の100点満点で構成され、70点以上で合格となります。しかし、単純に各問14点ずつ取れば良いわけではありません。商業簿記60点、工業簿記40点の配分や、各問の難易度の違いを理解し、戦略的に問題を解く順序を決めることが合格の鍵となります。

本記事では、各大問の具体的な配点から効率的な解法戦略まで、合格に直結する実践的なノウハウを詳しく解説します。

目次

    日商簿記2級の試験構成と基本配点システム

    (1)試験全体の配点構造

    日商簿記2級は 第1問から第3問まで各問20点、第4問28点、第5問12点の合計100点満点で構成 されています。合格基準は70点以上となっており、これは絶対評価による合格基準です。つまり、他の受験者の成績に関係なく、70点以上を獲得すれば確実に合格できる仕組みになっています。

    商業簿記と工業簿記の配点比率を見ると、第1問から第3問が商業簿記で60点分、第4問と第5問が工業簿記で40点分となっています。この比率は、実際の企業経理における商業簿記の重要性を反映したものといえるでしょう。

    試験時間は90分と定められており、単純計算では1問あたり18分の時間配分となります。実際には、問題の難易度や解答に要する時間が大きく異なるため、 戦略的な時間配分が合格の分かれ道 となります。

    (2)各大問の詳細配点と出題傾向

    配点システムを理解することで、どの問題に重点を置くべきかが明確になります。

    第1問の仕訳問題は5題で20点(1題4点)という高い配点効率を持っており、確実に得点したい部分です。

    一方で、第2問と第3問はそれぞれ20点の大問となっており、部分点を狙える構成になっています。

    第4問は工業簿記の仕訳問題3題12点と工業簿記総合問題16点の合計28点という他の大問と異なる配点構成です。第4問と第5問の工業簿記については、基本的な原価計算の理解があれば比較的安定して得点できる分野として位置づけられています。

    近年の出題傾向として、第2問の難易度が上昇 しています。従来は定型的な問題が多かったのですが、現在は連結会計や株主資本等変動計算書など、より実務に近い複雑な問題が出題される傾向にあります。

    効率的な得点戦略と優先順位の決め方

    (1)60点確保のための基本戦略

    第1問、第4問、第5問で60点の得点が可能な配点がされており、これらの問題で点数を稼ぐことが合格へのカギとなります。この「60点ベース戦略」は、多くの簿記指導者が推奨する確実性の高い合格手法です。

    第1問では5問中4問正解(16点)、第4問で28点中22点以上、第5問は12点中8点以上を目標とします。これで最低46点を確保し、残りの第2問と第3問で24点を獲得すれば70点に到達します。 この戦略の優れた点は、相対的に解きやすい問題で確実に基礎点を積み上げられることです。

    (2)各問の難易度分析と戦略的アプローチ

    第1問の仕訳問題は簿記の基礎中の基礎であり、 ここでの失点は致命的に なります。1問4点という配点の重さを考慮すると、仕訳の基本パターンを完璧に習得しておくことが必須です。近年は複合的な取引の仕訳や、連結会計に関連する仕訳も出題されるため、幅広い出題範囲への対応が求められています。

    第2問は現在最も攻略が困難な問題として位置づけられています。連結精算表、株主資本等変動計算書、固定資産に関する問題、有価証券に関する問題など、出題範囲が多岐にわたり、かつ各分野で高度な理解が要求されます。時間をかけすぎると他の問題に影響するため、部分点狙いで効率的に解答する戦略が重要になります。

    第3問の決算問題は、財務諸表や精算表の作成が中心となります。決算整理事項の処理を正確に行い、貸借対照表と損益計算書の数値を導き出す能力が問われます。部分点が期待できる問題構成になっているため、完璧を目指さず確実に取れる部分を積み重ねる姿勢が大切です。

    第4問と第5問の工業簿記は、商業簿記に比べて出題が限定的で、基本的な計算手順を習得していれば安定して得点できる特徴があります。特に、第4問の仕訳問題は工業簿記の基礎を聞かれる問題が多く必ず得点しておきたいところです。また、工業簿記の計算過程は論理的で、途中の計算ミスを発見しやすい利点があるため、きちんと過程を理解したうえでの解答が求められています。

    戦略的解答順序と時間配分の最適化

    (1)推奨解答順序とその根拠

    解く順番は 「第1問→第4・5問→第3問→第2問」 がおすすめです。

    まず第1問から始めることで、基本的な仕訳で確実に得点を重ね、試験に対する安心感を得られます。続いて工業簿記の第4問・第5問に取り組むことで、比較的安定した得点源を確保します。

    第3問を第2問より先に解く理由は、第3問の方が部分点を獲得しやすく、時間対効果が高いからです。第2問は出題内容によって難易度が大きく変動するため、最後に回して残り時間で可能な限り得点を積み上げる戦略が効果的です。

    この解答順序の最大のメリットは、解きやすい問題で高い得点を得られることです。試験前半で合格に必要な基礎点を確保することで、後半の難しい問題に心理的余裕を持って臨むことができます。

    (2)各問の目標時間設定

    効果的な時間配分として、 第1問8分、第4問15分、第5問12分と基礎固めに35分を使用し、残り55分で第2・3問と見直しに取り組みます。目安として、第3問25分、第2問20分、見直し10分という配分が理想的 です。

    試験後半につれて時間が足りなくなった場合でも、前半での得点が確保されているため、致命的な失点を避けられます。

    特に重要なのは、予定時間を超過しそうになった場合の切り替えです。完璧主義にならず、 「7割の完成度で次の問題に移る」という割り切り が、合格につながります。各問題で粘りすぎて時間を浪費することは、合格から遠ざかる最大の要因です。

    (3)見直し時間の効果的活用法

    最後の見直し時間は、単純な計算ミスの発見に集中します。 特に第1問の仕訳問題では、貸借の金額が一致しているか、勘定科目の選択に誤りがないかを重点的に 。高配点のため、1問の見直しで4点回復できる可能性があります。

    工業簿記の見直しでは、材料費・労務費・経費の集計に誤りがないか、配賦基準の適用が正しいかを確認します。工業簿記は連続的な計算のため、初期段階のミスが最終答案まで影響することが多く、計算過程の論理性をチェックすることが重要です。

    第3問の決算問題では、決算整理事項の漏れがないか、貸借対照表の借方・貸方の合計が一致しているかを確認します。決算整理による変動箇所は採点対象になりやすいため、これらの箇所を重点的に見直すことで効率的な得点アップが期待できます。

    問題の取捨選択と部分点獲得テクニック

    (1)切り捨てるべき問題の見極め方

    試験において全ての問題を完璧に解こうとすることは、時間的制約から現実的ではありません。70点での合格を目指す以上、30点分は失点しても問題ないという視点で、戦略的に問題を取捨選択することが重要です。

    明らかに難解な論点が出題された場合、固執せず部分点が獲得できる箇所に集中します。例えば、第2問の連結精算表の問題であれば、個別財務諸表の数値転記など確実に得点できる部分から着手し、 複雑な連結修正仕訳は後回しにする判断 が必要です。

    第3問の決算問題でも、未処理事項と決算整理事項が複雑に絡み合っている場合は、理解できる範囲での処理に留め、不明な部分は飛ばして次の項目に進みます。

    (2)部分点を最大化する解答テクニック

    特に第2問は部分点を狙うことがスタンダートな解法です。ただし、時間さえあれば高得点を狙うこともできるので、残り時間に合わせて解き方を変えましょう。コツは、解答プロセスを明確に示すことです。最終答案が間違っていても、途中の計算過程が正しければ部分的な評価を受けられる場合があります。

    工業簿記においては、材料費、労務費、経費それぞれの集計が正確であれば、最終的な製品原価の計算で誤りがあっても部分点が期待できます。第3問の財務諸表作成では、現金、売掛金、買掛金など基本的な勘定科目の転記ミスを避け、決算整理が不要な項目で確実に得点を重ねることで、部分点を積み上げていきます。

    (3)計算ミス防止と効率的な検算方法

    簿記試験における計算ミスは合否を左右する重要な要素です。特に工業簿記では、一つの計算ミスが後続の全ての計算に影響するため、途中段階での検算が欠かせません。加減算の際は必ず検算を行い、桁数の確認も怠らないようにしましょう。

    仕訳問題や精算表、財務諸表の作成では借方・貸方の金額が一致していることを必ず確認します。その際に、資産・負債・純資産・収益・費用の分類を意識し、BSとPLのどちらに影響するかを考えながら確認することで、論理的整合性を保てます。

    日ごろから計算順序を統一し、同じ計算を二度行って結果を照合する習慣をつけておくと、効率的に検算を行えます。また、複雑な原価計算では、異なるアプローチで同じ答えが導けるかを確認することで、計算ミスを早期に発見できます。

    商業簿記(第1問~第3問)の配点戦略

    (1)第1問:仕訳問題の完全攻略法

    第1問では細かい仕訳に関する問題が合計5問出題されます。

    頻出論点として、有価証券の評価替え、減価償却、貸倒引当金、税効果会計、外貨建取引などがあります。これらの基本的な仕訳を確実に習得し、応用問題にも対応できる実力を身につけることが重要です。近年は連結会計に関連する仕訳も出題されるため、子会社株式の取得や連結修正仕訳の基本も押さえておく必要があります。

    (2)第2問:個別論点問題の戦略的攻略

    第2問は個別論点(株主資本等変動計算書、連結精算表など)が出題され、配点は20点です。第2問は現在の簿記2級試験において最も予測困難かつ高難度の問題です。出題範囲が広範囲にわたるため、全ての論点を完璧に習得することは現実的ではありません。

    効果的な対策として、出題頻度の高い株主資本等変動計算書と連結精算表に重点を置いた学習が推奨されます。この論点については、基本的な処理パターンを確実に習得することで、高得点を狙えます。

    特に、時間に余裕がない状況で連結精算表を解く場合は、連結精算表の右端の解答欄を直接記入するテクニックが効率的です。なぜなら、連結精算表の採点は右端の解答欄についてのみ行われるため、限られた時間内で最大限の得点を獲得できます。

    (3)第3問:決算問題の部分点獲得術

    第3問は、決算問題(財務諸表・精算表など)が出題されます。配点は20点です。比較的安定した得点が期待できる問題であり、15点程度の確保を目標とします。

    ポイントは、決算整理事項の処理を段階的に進めることです。決算整理によって変動した箇所が採点箇所になりやすいです。解答や見直しを行う時に優先的に行うことで得点確保につながります。

    未処理事項と決算整理事項が連動する問題は要注意です。未処理事項で変動した金額が決算整理事項に影響を与えるパターンが定番問題として出題されます。この連動関係を理解し、処理順序を間違えないよう注意深く解答することが重要です。

    工業簿記(第4問・第5問)の効率的攻略法

    (1)工業簿記の基本戦略と配点効率

    繰り返しになりますが、工業簿記40点は簿記2級合格の重要な得点源となります。商業簿記と比較して出題パターンが限定的で、基本的な原価計算の仕組みを理解していれば安定した得点につながります。

    第4問は仕訳問題と総合問題の複合構成になっており、仕訳部分で確実に得点することが重要です。工業簿記の仕訳は商業簿記ほど複雑ではなく、材料費・労務費・経費の基本的な処理パターンを習得していれば対応可能です。製造間接費の配賦や完成品・仕掛品の振替処理などの定型的な仕訳を確実にマスターしておきましょう。

    第5問では原価計算の応用問題が出題されますが、基本的な計算手順を踏襲すれば解答可能な問題がほとんどです。標準原価計算の差異分析や直接原価計算によるCVP分析など、計算パターンが決まっている論点を重点的に学習することで、効率的な得点アップが図れます。

    (2)原価計算の計算プロセス最適化

    工業簿記で高得点を獲得するためには、計算プロセスの標準化が重要です。

    総合原価計算では、当月投入量→当月完成量→月末仕掛品量→完成品原価→月末仕掛品原価という一定の算定順序を確立し、毎回同じ手順で解答することで計算ミスを防げます。

    個別原価計算では、製造指図書別の原価集計を正確に行い、直接材料費・直接労務費・製造間接費の区分を明確にします。製造間接費の配賦については、予定配賦率の計算から実際配賦額の算定まで、段階的な計算プロセスを確立することが重要です。

    部門別原価計算では、補助部門費の配賦計算が複雑になりがちですが、計算過程を明確に記載し、中間段階での検算を怠らないことで、最終答案の精度を高められます。

    (3)標準原価計算と直接原価計算の攻略ポイント

    標準原価計算の差異分析では、計算式を確実に習得することが重要です。差異の有利・不利の判定についても、基準と実際の比較による判定ルールを明確にしておきます。各差異の計算は独立しているため、一つの差異計算でミスがあっても他の差異には影響しないという特徴を活かし、部分点獲得を狙います。

    直接原価計算によるCVP分析では、変動費・固定費の分解から始まり、貢献利益・損益分岐点・安全余裕率の計算まで一連の流れを習得します。特に損益分岐点の計算は頻出論点であり、売上高による表示と販売量による表示の両方を理解しておく必要があります。

    これらの工業簿記の論点は、基本的な計算パターンを反復練習することで確実に得点源にできます。商業簿記のように新しい会計基準の導入による出題範囲の変更が少ないため、過去の出題傾向を参考にした対策が有効です。

    本番での実践的な時間管理テクニック

    (1)試験開始直後の行動指針

    試験開始の合図と同時に、まず全体の問題構成を把握することが重要です。 問題の詳細内容を読み込むのではなく、各大問がどのような出題形式になっているかを30秒程度で確認 し、予定していた解答順序で進められるかを判断します。

    各問題の解答中は、常に時計を意識し、予定時間内に完了するよう調整します。予定時間を5分以上超過しそうになった場合は、その問題を一旦保留にして次の問題に移る判断も必要です。全体最適化の視点を常に持ち続けることが、時間管理成功の鍵となります。

    (2)中間時点での進捗管理

    試験開始から45分経過時点で、第1問・第4問・第5問が完了しているかをチェックします。この時点で予定より遅れている場合は、第3問・第2問の解答時間を各5分ほど短縮し、見直し時間を必ず確保する調整を行います 。時間配分の調整は試験中盤での重要な戦略判断となります。

    各問題の解答完了時には、簡単な検算を行います。特に工業簿記では、借方・貸方の一致や原価要素の合計チェックなど、論理的整合性の確認を怠らないようにします。この中間チェックにより、最終見直し時間を効率的に活用できます。

    (3)終盤戦での得点最大化戦略

    試験終了10~15分前になったら、第2問の解答を一旦停止し、これまでの解答内容の見直しに移ります

    見直しの優先順位は、第1問→第4・5問→第3問です。1問4点の第1問は見直し効果が最も高いため、貸借の金額一致や勘定科目の選択ミスがないかを重点的にチェックします。

    最後の5分間は、解答用紙の記入漏れや記入ずれがないかを確認 します。これらの基本的なチェックにより、本来の実力を確実に点数に反映させることができます。

    配点を意識した学習方法

    (1)継続的な学習での配点の意識

    日頃の学習においても配点を意識した優先順位をつけることが重要です。

    第1問対策では、仕訳を反復練習し、確実に得点できる実力を養成します。基本的な商業取引から連結会計まで、幅広い仕訳に対応できるよう体系的に学習を進めます。

    工業簿記については、基本的な原価計算手法を確実にマスターします。特に、基本的な過程を理解することで、計算プロセスが標準化され、どのような出題形式でも対応できる実力が身につきます。

    第2問・第3問の対策では、完璧を目指すのではなく部分点獲得を前提とした学習戦略を採用します。特に、第3問の決算問題では、決算整理事項の基本的な処理パターンを確実に習得し、財務諸表作成の基本手順を身につけることで、安定した得点を確保できます。

    (2)模擬試験での実践練習

    模擬試験や過去問演習では必ず時間を測定し、推奨解答順序で問題を解きます。制限時間の中で、各問にどの程度の時間を配分できるかを体感し、自分なりの時間配分パターンを確立します。

    また、難解な論点が出題された場合の対処法や、時間が不足した場合の優先順位判断など、実際の試験で遭遇する可能性がある状況を想定した練習を行います。

    採点後は、どの問題で何点獲得できたかを分析し、目標得点配分と実際の得点を比較検討します。不足している分野があれば重点的に復習し、得点効率の良い分野はさらに伸ばすという戦略的な学習計画を立てます。

    (3)合格に向けた最終調整

    試験直前期には、配点効率を最優先とした総復習を行います。仕訳問題は最後まで練習を継続し、工業簿記の基本計算も反復練習で精度を高めます。新しい論点に手を広げるよりも、確実に得点できる分野の精度向上に集中することが合格への近道となります。

    まとめ:配点を活かした合格への道筋

    配点システムを深く理解し、それに基づいた戦略的アプローチを実践することで、日商簿記2級の合格は必ず手の届く目標となります。70点という合格ラインは決して高いハードルではありません。効率的な得点戦略と継続的な学習により、確実な合格を掴み取ってください。

    (執筆協力:簿記講師 鯖江 悠平)

    講師プロフィール

    ジャスネットキャリア編集部

    WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
    会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。

    編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。