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日商簿記3級に合格するのに最短の勉強時間は? 転職・昇進で必要な資格を効率的に取得する完全攻略法

ジャスネットキャリア編集部

転職活動で急に日商簿記3級が必要になった、昇進の条件として今すぐ資格を取らなければならない...そんな切実な状況に直面している方も多いのではないでしょうか。

実は日商簿記3級は、適切な勉強法を実践すれば最短1カ月での合格も十分可能な資格です。一般的に必要とされる100時間の勉強時間を効率化し、働きながらでも無理なく学習を継続できる方法があります。この記事では、実際に短期合格を果たした人々の経験を基に、時間のない社会人が最短で簿記3級に合格するための具体的な戦略をご紹介します。

目次

    日商簿記3級の現実:なぜ最短合格を目指すべきなのか

    (1)転職・キャリアアップで求められる日商簿記3級の重要性

    現代のビジネス環境において、日商簿記3級は経理職に限らず、あらゆる職種で重宝される資格となっています。営業職でも自社の経営状況と顧客の経営状況を鑑みながら営業を行うことができ、相手との交渉や自社売上の管理を行うようになったときに非常に役立つからです。

    特に転職市場では、経理部門はもちろん、管理職候補や営業職、さらには企画職でも日商簿記検定の保有者が優遇される傾向が強まっています。日商簿記3級は すべてのビジネスパーソンに必要な経理の基礎的な知識を学べる ため、企業側も採用時の重要な判断材料として位置づけているのです。

    また、昇進や昇格の条件として日商簿記3級の取得を義務付けている企業も増加しています。これは、管理職として部下を指導したり、事業計画を立案したりする際に、財務・会計の基礎知識が必要不可欠だからです。

    (2)最短合格が求められる現実的な事情

    多くの社会人が最短での日商簿記3級取得を求める背景には、切実な事情があります。 転職活動では応募締切までの時間が限られており、昇進試験では試験日が設定されているケース がほとんどです。また、育児や介護などの家庭事情で長期間の学習継続が困難な方も少なくありません。

    最短で合格したい場合は、1日あたり4〜6時間の勉強が必要で、半月から1カ月程度で目標となる100時間を達成できるとされています。しかし、働きながらこれほどの時間を確保するのは現実的ではありません。そこで重要になるのが、効率化された学習戦略なのです。

    日商簿記3級の試験概要と合格基準を正しく理解する

    (1)試験形式と出題内容の特徴

    日商簿記3級は60分の試験で、得点率7割以上(100点満点中70点以上)が合格基準となっています。試験方式は 「統一試験(筆記型試験)」と「CBT方式(ネット試験)」の2通り があり、どちらを選択しても出題範囲や難易度に差はありません。

    出題範囲は商業簿記に限定 されており、小規模の株式会社において、経理実務を行う前提での問題が中心となります。具体的には、仕訳問題、決算処理、財務諸表の作成などが主要な出題分野です。

    特筆すべきは、2021年度から試験内容が変更され、仕訳の問題数が増加している点です。

    (2)合格率から見る現実的な難易度

    日商簿記3級の合格率は直近10回分を平均すると約36%となっていますが、回によってバラつきがあります。169回では一転、30%を下回る合格率になったこともあり、けっして油断できる試験ではありません。

    ただし、問題のレベルは変わっていません。 むしろ、易しくなっている との指摘もあります。合格率の変動は、試験時間が半分になったものの設問数は半分になっておらず、スピードが要求される試験になったことが大きく影響しているのではないでしょうか。

    つまり、内容の理解だけでなく、 時間配分と解答スピードの向上が合格の鍵 となっているのです。

    最短合格のための戦略的学習計画

    (1)100時間の勉強時間を効率的に配分する

    一般的に日商簿記3級の合格に必要な勉強時間は約100時間とされていますが、この時間をどう配分するかが最短合格の分かれ目になります。効率的な配分は以下の通りです。

    ①基礎理解フェーズ(30時間)

    簿記の基本概念と仕訳のルールを徹底的に理解します。この段階で「そもそも簿記とは何なのか」という基本知識を身につけ、「仕訳」「複式簿記」の意味を理解することが重要です。

    ②実践演習フェーズ(50時間)

    問題集を使って実際の問題に取り組みます。インプットに時間をかけすぎず、予想問題やサンプル問題を解く時間を増やすことが合格への近道だからです。

    ③総仕上げフェーズ(20時間)

    時間を測った模擬試験と弱点の集中対策を行います。

    (2)1カ月での最短合格スケジュール

    最短1カ月での合格を目指す場合、週単位での明確なマイルストーンを設定することが重要です。

    1週目:基礎固め

    参考書を熟読し、内容を理解する段階です。1日2-3時間の学習時間を確保し、簿記の基本ルールと主要な勘定科目を覚えます。

    2・3週目:実践演習期間

    サンプル問題・予想問題で演習を行なうアプローチで、毎日異なるパターンの問題に取り組みます。短期間でインプットとアウトプットを繰り返すと、内容の理解が深まり、いつの間にか仕訳方法がわかっている状態になります。

    4週目:総仕上げ・弱点克服

    模擬試験を重ね、間違いやすいポイントを徹底的に強化します。

    (3)社会人向け時間確保テクニック

    働きながら1日2-3時間の学習時間を確保するには、 時間の細切れ活用 が不可欠です。通勤通学時間、休憩時間などを上手く活用して少しずつ積み重ねることで、1回の勉強時間は少なくても、1ヵ月で考えればとても貴重な時間になります。

    例えば、 朝の30分は前日の復習、通勤時間の往復1時間で仕訳の暗記 を行います。 昼休みの20分で部分的な問題演習、帰宅後の1時間でまとまった学習 。週末は平日の倍の時間を確保し、模擬試験や苦手分野の集中対策という配分が現実的です。

    効率的な学習方法と教材選択のポイント

    (1)最短合格に適した教材の選び方

    教材選択は最短合格の成否を左右する重要な要素です。“これ”というテキストを1冊決め、そのテキストを2回、苦手な部分は3回と読み込んでいくことが基本方針です。

    実際の合格者は下記のようにテキストを選んだようです。

    『イメージで攻略 わかる!受かる‼ 日商簿記3級』 という参考書が一番良かった。カラフルな挿絵付き参考書で、文章も平易で読みやすい。初学者でもスムーズに読み解けた」

    『スッキリわかる 日商簿記3級』 で勉強しました。文章だけでなく、イラストが多く、仕訳の内容をイメージしやすかった。テキストと問題集が1つになっているので、わからない部分がすぐに解決できて便利」

    オススメは、テキストと問題集が一体化されており、理解と演習を効率的に繰り返せるテキストです。上記以外にも様々なテキストが出版されているので、自分に適した教材で繰り返し学習しましょう。

    (2)デジタルツールの効果的な活用法

    最短合格を目指すなら、デジタルツールの併用が効果的です。

    例えば、「StudyPro」というWebサイトは、完全無料で使える『日商簿記3級』学習サイトです。ペンギンのキャラを使った可愛い挿絵付きで、丁寧な解説文で内容が頭にスッと入ると好評です。解説の直後には小問があり、知識の定着化も図れるなど、無料で質の高いコンテンツも活用できます。

    上記以外にも様々なコンテンツが普及しています。スマートフォンアプリは通勤時間や待ち時間の有効活用に最適です。特に仕訳の反復練習には、アプリの即座に正誤判定される機能が学習効率を大幅に向上させます。

    また、動画学習サービスも理解促進に有効です。文字だけでは理解しにくい複雑な仕訳も、動画解説なら直感的に理解できることが多いです。

    ジャスネットでも下記の通り、日商簿記3級を完全無料で学習できる動画コンテンツ(テキストは無料でダウンロード可)があります。

    【リンク】
    経理職を目指す人のための 日商簿記3級講座
    https://career.jusnet.co.jp/entry/video-bookkeeping/

    (3)記憶定着のための実践的テクニック

    日商簿記3級では暗記よりも理解が重要ですが、基本的な仕訳は反射的に思い浮かべられるレベルまで定着させる必要があります。仕訳集などを読み返して反射的にイメージできる練習が効果的です。

    また、エビングハウスの忘却曲線を活用した復習スケジュールもオススメです。学習した内容を翌日、3日後、1週間後、2週間後に復習することで、長期記憶として定着させることができます。

    間違えた問題は、答え合わせの後すぐにテキストや解答を見てなぜ間違えたのかを理解し、翌日に同じ問題にチャレンジしてみる。これを最低3回は繰り返し、全問正解を目指すアプローチが確実な知識定着をもたらします。

    1日の効率的な勉強時間配分と継続のコツ

    (1)最適な1日の学習時間設計

    最短合格を目指す場合の1日の学習時間は、平日2-3時間、休日4-5時間が現実的なラインです。時間確保テクニックにも述べましたが、例えば以下のような時間設計が効率的です。

    (例)効果的な時間配分

    朝30分(前日の復習)

    通勤時間40分(暗記系)

    昼休み20分(部分的な問題演習)

    夜60分(新規学習・問題演習)

    就寝前10分(要点確認)

    計 約2時間40分

    集中力の観点から、1回の学習時間は90分以内に抑えることが重要です。人間の集中力は90分程度で低下するため、それ以上続けても効率が悪くなります。

    (2)学習習慣化のための心理テクニック

    最短合格には学習の習慣化が不可欠です。特に独学で試験に挑む方にとっては、 モチベーション管理も合格を左右する重要なポイント となります。

    習慣化の秘訣は「小さく始める」ことです。最初は1日15分からでも構いません 。重要なのは毎日継続することです。段階的に時間を増やしていけば、無理なく目標時間に到達できます。

    学習ログをつけることも効果的です。毎日の学習時間と内容を記録することで、進歩を実感でき、モチベーション維持につながります。

    (3)疲労管理と学習効率の最大化

    働きながらの学習では疲労管理が重要な課題です。疲れているときに無理に学習しても効率が悪く、かえって学習期間が長くなってしまいます。

    例えば、疲れているときは暗記系の学習、集中力があるときは新しい論点の理解や問題演習に取り組むなど、メリハリをつけることが大切です。

    十分な睡眠時間の確保も学習効率に直結 します。記憶の定着は睡眠中に行われるため、睡眠時間を削って学習時間を増やすのは逆効果です。

    つまずきやすいポイントと対策法

    (1)仕訳でつまずく人への根本的解決策

    「勘定科目の丸暗記ができてれば大丈夫」と考えている人もいるかもしれませんが、それだけでは合格できません。各勘定科目の役割を理解しなければ、仕訳を正確に行えず、配点の高い仕訳問題で失点をするからです。

    仕訳の本質は「取引の二面性」を理解することです。すべての取引には必ず「何かが増えて、何かが減る」または「何かが増えて、何かが増える」という関係があります。この 基本原理を理解すれば、暗記に頼らずに仕訳ができるようになります

    実際の取引をイメージしながら学習することも効果的です。例えば、「商品を現金で購入した」という取引なら、「商品という資産が増え、現金という資産が減る」と具体的にイメージできれば、仕訳も自然に導き出せます。

    (2)決算処理の理解を深める実践的アプローチ

    決算処理は多くの受験者がつまずくポイントです。なぜなら、日常の取引とは異なり、期間損益を正しく計算するための特殊な処理が必要だからです。

    コツは、「なぜその処理が必要なのか」という目的を常に意識することです。例えば、減価償却は「資産の価値減少を適切に期間配分する」という目的があります。この目的を理解すれば、具体的な処理方法も覚えやすくなります。

    練習問題では、各処理がどの財務諸表のどの項目に影響するかを確認しながら解くことが重要です。貸借対照表と損益計算書の関係を意識することで、決算処理の全体像が見えてきます。

    (3)試験時間不足への対処戦略

    新試験では試験時間が半分になりましたが、設問数は半分になっていません。スピードが要求される試験になっているため、時間配分が合格の重要な要素です。

    時間不足対策の基本は、問題の難易度を瞬時に判断し、解答順序を決める技術です。 確実に解ける問題から取り組み、難問は後回しにする という戦略的アプローチが必要です。

    計算スピードの向上も不可欠です。電卓の操作に慣れ、暗算でできる計算は暗算で済ませるなど、計算時間の短縮テクニックを身につけましょう。

    また、予想問題を解く際は時間を測って行うようにしましょう。はじめのうちは試験時間を超えても、とにかく最後まで解き切ることを意識することで、回数を重ねるごとに本番での対応力が身につきます。

    直前期の総仕上げとメンタル管理

    (1)効果的な直前対策の進め方

    試験直前の1週間は、新しいことを覚えるよりも、 既に学習した内容の確実な定着を図ることが重要 です。最低でも1週間から10日程度は本試験に即した問題に集中する期間を設けることで、実戦的な解答力を養います。

    間違えやすいポイントをリスト化し、試験当日に確認できるようにチェックシートを作成することも効果的です。仕訳のパターン、決算処理の手順、勘定科目の分類など、重要なポイントを一覧にまとめておきましょう。

    (2)本番での実力発揮のためのメンタル調整

    どんなに準備を重ねても、本番で実力が発揮できなければ意味がありません。メンタル面での準備も合格には不可欠です。

    試験前夜は早めに就寝し、十分な睡眠をとることが重要です。徹夜での詰め込み学習は、かえって本番でのパフォーマンスを低下させる可能性があります。

    当日の朝は軽い復習にとどめ、リラックスして試験会場に向かいましょう。 重要なのは「これだけ勉強したのだから大丈夫」という自信を持つことです

    (3)合格後のキャリアアップ戦略

    簿記3級合格は決してゴールではなく、キャリアアップの新たなスタートラインです。

    フリーランスや副業で稼いだお金の税金関連など簿記の知識を用いてスムーズに処理を行えます。自分で行うことで手間はかかりますが、その分コストを削減でき、手取り収入が増加するなど、実生活でも活用できる知識です。

    転職活動では、日商簿記3級の知識を具体的にどう活かせるかをアピールすることが重要です。単に資格を取得したことを伝えるだけでなく、財務分析ができる、コスト意識を持って業務に取り組めるなど、具体的な能力をアピールしましょう。

    さらなるキャリアアップを目指すなら、日商簿記2級への挑戦も視野に入れることをおすすめします。日商簿記3級で身につけた基礎知識があれば、2級の学習もスムーズに進められます。

    まとめ

    転職や昇進で急に日商簿記3級が必要になった状況でも、適切な戦略と効率的な学習法を実践すれば、最短1カ月での合格は十分に可能です。重要なのは、限られた時間を最大限に活用し、理解重視の学習を継続することです。

    この記事で紹介した方法を参考に、ぜひ簿記3級合格を実現し、キャリアアップの第一歩を踏み出してください。適切な準備と継続的な努力があれば、必ず合格という結果がついてくるはずです。

    講師プロフィール

    ジャスネットキャリア編集部

    WEBサイト『ジャスネットキャリア』に掲載する記事制作を行う。
    会計士、税理士、経理パーソンを対象とした、コラム系読み物、転職事例、転職QAの制作など。

    編集部メンバーは企業での経理経験者で構成され、「経理・会計分野で働く方々のキャリアに寄り添う」をテーマにしたコンテンツ作りを心がけていてる。